地球最大の島、グリーンランド・トランプ大統領の買収意図は?(上)

世界の旅

日本では「グリーンランド」について詳しい知識や興味を持っている人は、そう多くないと思います。

筆者も中学生の時、世界地図の、左上もしくは右上に描かれた、上部が途切れた巨大な白い部分を見て、「ここは島?大陸?」、「北極に近いし、白色なのに、なぜグリーンランド?」と不審に思ったことを覚えています。

しかし、地理の授業でも出てこないし、先生に質問するでもなく、ただ、少し不気味で、何だろうなとは思ったのですが、深く関心を持つことはありませんでした。

そのグリーンランドが昨今、地球温暖化地下資源の豊富さで、日本でもすこし注目されてきています。

また昨年、トランプ米大統領グリーンランドの買収構想を明らかにし話題になりました。

これに対しては、デンマークのフレデリクセン首相が拒否し、話はいったん終息したのですが、トランプ大統領の意図はどこにあったのでしょうか?

そこで、日本人にとって、未知なる「グリーンランド」について、調べてみましたので、おつきあいください。

グリーンランドはどんなところ?自然と歴史は?

子供の時の疑問の答えですが、巨大な大陸のように描かれていたグリーンランドですが、「」でした。

メルカトル法による地図だったので、実際の17倍の大きさで描かれています。

メルカトル法は、地球を円筒に投影した地図なので、地球の上部・下部が赤道と同じ長さで表現されるのです。

また、島と大陸の厳密な区分はなく、社会習慣上、オーストラリア大陸以上を大陸といい、グリーンランド島以下を島としていています。

もしその間の面積の地域が見つかったら(例えば計測間違いなどで)大陸になるのか、島になるのか、気になるところです。

ですからグリーンランドは現在、世界最大の島です。

グリーンランドはどんな島?

面積は217万 5,600km2で日本の約6倍 です。

フランス、イギリス、ドイツ、スペイン、イタリア、オーストリア、スイス、ベルギーを合わせた大きさに相当します。

人口は、約56,000人。1km2あたりの人口密度はわずか0.14人(日本は337.2人)で、世界でもっとも人口密度の低い地域に数えられます。

ちなみに日本では佐渡島の人口が約57,000人です。

首都はグリーンランド南西部に位置するヌークで人口は約1万7,000人です。
世界でもっとも人口の少ない首都です。

グリーンランドの自然と気候は?

グリーンランドは、大部分が北極圏に位置し、島の85%以上が万年雪と氷に覆われています。

これはグリーンランド氷床と呼ばれ、南極氷床につぐ世界で2番目に大きい氷床です。

海岸部は巨大なフィヨルドが形成され内陸に向かって氷河が高くなっていて、その厚さは最大3000mを超えます。

東グリーンランドは迫力のある北極圏の山々が連なった地形で、一方、南グリーンランドは比較的穏やかな気候で緑の多い景色が広がっています。

気温は暖かい季節でも10℃を超えることはまれで、冬の平均気温はマイナス10℃からマイナス20℃まで下がります。

グリーンランドの観測史上、最低気温は、1950年代に内陸の氷原で記録されたマイナス70℃です。

一方、1990年7月にグリーンランド南西部のカンゲルルススアークで観測された25.5℃が過去55年間の最高気温になります。

グリーンランドの野生動物は?

グリーンランドはさまざまな野生動物が生息しています。

海のほ乳類としては、ワモンアザラシ、アゴヒゲアザラシ、タテゴトアザラシ、ズキンアザラシ、ゼニガタアザラシ、そしてセイウチです。

またクジラも生息しています。北大西洋にいるクジラは繁殖や食料確保のためにグリーンランドの海へとやってきます。

グリーンランドに生息する野生の陸上ほ乳類は、北極グマ、北極ウサギ、北極ギツネ、カリブー(トナカイ)、ジャコウウシ、レミング、オオカミの7種類です。

グリーンランドは渡り鳥の宝庫といわれておりオジロワシ、フルマカモメ、ハジロウミバトなど235種類の渡り鳥がやって来ます。

グリーンランドの歴史

 

確認されているグリーンランドの最古の文化は、ルインデペンデンスⅠ文化と呼ばれるものです。

今から4600年ほど前グリーンランドにやって来きたアジアを起源とするエスキモーの文化です。

東北グリーンランドを中心に、ジャコウウシやホッキョクグマ、アザラシなどを捕獲して生活していました。

以後、今から700年前まで、パレオ(古い)エスキモーが、立ち替わりグリーンランドの古代文化を担いました。

ただし、途中の2000年前から1300年前までの700年間、人間の痕跡がない謎の期間があります。

現在の原住民のイヌイットの祖先であるネオ(新しい)エスキモーが、グリーンランドにやって来たのは800年前といわれています。

イヌゾリと皮張りの船で活動し、ホッキョククジラ漁などを行い、これをチューレ文化といいます。

一方1000年前にはアイスランドから、バイキングとして知られているノース人南グリーンランドに進出してきました。

ノース人はヒツジ、ヤギ、ウシなど牧畜を行いました。今でも南グリーンランドやヌークの近くには彼らの遺跡があり、観光スポットとなっています。

ノース人はイヌイットとの抗争や気候の寒冷化で15世紀半ばに忽然と姿を消しました。

1721年、現在のヌーク(グリーンランドの首都)へ、デンマーク/ノルウェー系の宣教師ハンス・エゲデが伝道と交易を目的として移住しました。

彼はイヌイットをキリスト教へと改宗させました。現在もグリーンランド人の多くは福音ルーテル派のキリスト教徒です。

以来1721年から1953年まではデンマークの植民地となりました。

1776年王立グリーンランド貿易局が創設され、デンマークとの本格的な貿易が始まりました。

第二次世界大戦中、グリーンランドはアメリカとイギリスをつなぐ連合国の中継地となりました。デンマークがドイツに占領されると、グリーンランド政府はアメリカに防衛協力を求めました。

1953年にデンマークの憲法改正により、植民地支配は終了し、グリーンランドはデンマークに編入され一つの地方となりました。

1979年にはグリーンランド政府は内政の大部分に権限を持つようになり、2009年には自治法が改正され、自治協定が結ばれました。

自治法には、グリーンランドの独立手続きが規定されています。

グリーンランドの住民が独立を望めば、デンマーク政府とグリーンランド自治政府の交渉が開始され、グリーンランド議会の承認と住民投票により成立します。

この協定により、公式にデンマーク王国の自治領となり、外交と安全保障を除くすべての政治的な権限と責任がデンマーク政府からグリーンランド政府へと移譲されました。⇒(下に続く)

参考:デンマーク大使館HP:アイスランド・グリーンランド・北極を知るための65章  :日本外務省資料






コメント

  1. […] 前回、グリーンランドについてとりあげましたが、その南東に位置する「アイスランド」も興味が尽きない不思議な島です。 […]