箱根駅伝・2020年大会の結果は?(3)國學院・創価大の活躍理由は?

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主要大学の戦略やレース展開は?

國學院大學、過去最高の戦略とは?

 

國學院大學陸上部は1890年創部と古い歴史を持ちますが、箱根駅伝に出場したのは2001年第77回大会からで比較的新しい参加校と言えます。

2011年、2012年大会では10位となりシード権を獲得したものの、その後は予選会からの参加ですが、2019年95回大会で総合7位の成績で7年ぶりのシード復活となりました。

そして國學院大史上最強のチームといわれた今年度、「歴史を変える挑戦」を合い言葉に団結し、昨年秋の三大駅伝の一つである出雲駅伝優勝という快挙を成し遂げます。続けて全日本学生駅伝は7位でしたが大学初の2年連続シード権獲得となりました。

そして2020年箱根駅伝。國學院の名前が優勝候補に急浮上、関係者の期待の中、本番がスタートしました。

往路は1区藤木選手が区間2位の積極的な走りで、4区中西選手も3位の走り、5区山登りでは前回記録を打ち立てた浦野選手も3位の走りで往路2位と過去最高成績でゴール。

復路も7区までは目標の3位を維持。しかし9区がブレーキとなり5位に転落し、10区の2年生殿地選手にタスキが渡りました。

年末から調子を上げていた殿地選手はラスト1kmでスパート、母校を過去最高の3位まで引き上げてゴールしました。

殿地選手の粘りの走りに、熱血派前田監督「しびれました。最後まであきらめてはいけないことを選手に教えられた」と男泣きしました。

前田監督が控えの殿地選手を10区に起用することを決めたのは大会4日前だといいます。

年末の調子を見て直感できめ、控えに廻る選手には丁寧にわび、指導者として厳しい決断をしました。

殿地選手はうれしい反面、はずれる先輩の気持ちを思い、やるしかないとの強い気持ちで走りました。

14km付近で前を行く3位集団に追いつきますが、冷静に帝京、東京国際、明治の選手と併走、ゴールまであと1km、日本橋付近で、満を持してスパート。接戦を制しました。

殿地選手は「ラスト300メートルは苦しかったが仲間の顔が思い浮かび、最後まで粘ることができた」と語っています。

前田監督「選手たちは私の誇り」と選手たちに感謝しつつも「力のある4年生が抜ける来季こそ真価が問われる年になる。今回、3位を取ったプライドを持ち、本戦に向けて力をつけていきたい」と気を引き締めます。

 

創価大学、初シード獲得の勝因は?

 

創価大学陸上部は、1972年創部で歴史が新しく、2015年大会で予選会を勝ち抜き、初出場しました。結果は最下位の20位で2017年も本戦に出場12位でした。

そして2020年大会、9位に躍進し初のシード権を獲得しました。

本戦初出場から5年目で初シードですが,その間、3回の予選会敗退があり、順風満帆とは言えませんが、箱根駅伝本戦へ出場することの難しさを考えると、少しづつ常連校への道を歩んでいるように見えます。

今大会の創価大学の活躍は1区から始まります。

1区を走った4年生米満選手は、一度も勝てなかった、高校時代の同窓で東海大のエース、鬼塚選手になんとか勝ちたいという思いと、絶対に区間賞を取るという強い気持ちで走ります。

鶴見中継所まで18kmの六郷橋入口付近から、國學院大の藤木選手がスパートをかけますが、冷静についていきます。

ラスト300メートルで勝負をかけ、藤木選手に5秒差をつけ創価大初めての区間賞を獲得トップで2区につなげました。

しかし、2区、3区は区間11位で順位を下げ、4区福田選手は区間4位の走りで7位まで順位を戻し、往路は過去最高の7位でゴール。

復路は6区、7区が16位、18位と流れが悪くなるも、8区鈴木選手は前を行く中央学院大との差を詰め、9区石津選手は区間6位の走りで11位のポジションで10区の2年生の嶋津選手にシード権のタスキを託します。

嶋津選手は、ともかくシードを取るという一念で、監督も危惧するハイスピードで突っ込み、55秒の差があった中央学院大と、さらに前を行く東洋大の2選手を抜き去ります。

途中で、太ももがつりそうになり、何回も叩きながらもスピードを落とさず、執念の走りでチームを9位に押し上げ大手町に帰還。区間新を叩きだし、創価大は念願のシード権確保という偉業を成し遂げました。

嶋津選手は生まれつき眼の難病を抱えています。網膜色素変性症という病気で、暗いところでは眼が見えにくく、強い光にもまぶしくて見にくい症状です。

進行性の病気で失明の可能性もある病気と闘いながらの大健闘で「こんな自分でも区間賞が取れた」と同じ病気の人を励ますことができたといいます。

同学年の永井選手も同じ病気で、暗くなればロードランニングはできず、照明を灯したグランドや体育館で一緒に練習する親友です。

永井選手は直前のエントリー変更で今回のレースにはでられず、嶋津選手は親友の思いも抱いて走りました。

榎木監督はシード権獲得の快挙に「私の指導というより選手たちの箱根で走りたいという強い気持ちがこの結果を生んだ」と選手たちを讃え「さらに上のレベルを目指して精進していきたい」と決意を述べました。

 

以上5大学の戦いぶりを見てきました。

順位に違いがあっても、選手が必死でがんばった努力の結晶で、私たちに箱根駅伝の面白さと大きな感動を与えてくれました。

選手の皆さんに敬意と感謝の言葉を表したいと思います。

2020年大会が終了して1ケ月、次回大会に向けて各大学の戦いはすでに始まっています。今から2021年の箱根駅伝が待ち遠しいですね。

最後まで、おつきあいありがとうございました。



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