ハンバーグとハンバーガー、その起源と歴史は?

料理

ハンバーグは、日本では、子供から大人まで大人気のメニューの一つですが、

ハンバーグは、いつ、どこで始まった料理なのでしょうか?

 

 

 

 

 

ハンバーグハンバーガーの違いは?

日本には、いつ伝わったのでしょうか?

ハンバーガーチェーンの始まりは?

など、ハンバーグの起源と歴史について調べて見ました。

ハンバーグの起源は?

ハンバーグとは、ドイツのハンブルグ地方で食べられていた「タルタルステーキ」がルーツであるとされています。

ヨーロッパでは、13世紀前半にジンギスハンが作ったモンゴル帝国が侵入しますが、ヨーロッパ人はモンゴル帝国の騎馬民族をタタール人と呼んで恐れました。

「タルタルステーキ」とは、その「タタール人」が食べていた生肉料理を源流としています。

タタール人はヨーロッパに侵入の際に乗ってきた馬をも食料にしたのですが、馬肉は非常に筋が硬かったため、細かく刻んで食べました。

やがてヨーロッパ人は、この料理を取り入れます。肉は農耕に必要な馬の肉ではなく、牛肉にタマネギ、香辛料などで味付けをし、焼いて食べることが、特にハンブルグ地方を中心に広まります。

この挽肉料理を「タルタルステーキ」と言うようになりました。

ちなみにタタール人の生の挽肉料理は、同時に朝鮮半島にも伝わり「ユッケ」になったとも言われます。

「タルタルステーキ」がアメリカに伝わりハンバーグが生まれますが、ドイツでは「フリカデレ」(ベルリンでは「ブレッテ」ともいう)と呼ばれ、代表的な家庭料理となり、労働者階級を中心に親しまれました。

 

 

 

 

 

ただ「フリカデレ」は「タルタルステーキ」と少し違い、ハンバーグより分厚く、ちぎったパンも入れてこね、十分に焼き上げた食べ物で、現在でもドイツでは人気の料理です。

アメリカへの伝播と変化は?

19世紀に、ドイツからアメリカへの移民が本格化すると、ヨーロッパ移民のほとんどはハンブルグの港から旅立ちました。

一方、アメリカの寄港地はニューヨークで、ドイツ人を呼び込むためニューヨークの多くのレストランで、ドイツ風のタルタルステーキを出すようになります。

またドイツからの移民した人々も、アメリカでレストランやデリカテッセン(総菜店)を開きましたが、当時は牛肉を塩漬けや燻製にし、タマネギとパン粉を加え、生か軽く焼いた物だったようです。

そしてドイツ風の挽肉料理はハンブルグの地名から「ハンブルグステーキ」と呼ばれるようになります。

「ハンブルグステーキ」がいつか「ハンバーグ」と呼ばれるようになりました。

1873年ごろ、ニューヨークのJ.H.ソールズベリー医師は、南北戦争に従軍した際、兵士の下痢対策として、消化の悪いビーフステーキではなく、脂身のない牛肉の赤身をぶつ切りにして成型し、焼いたステーキを考案し、軍用食として採用されます。

これを「ソールズベリーステーキ」と言います。

これはハンバーグと見た目はよく似ていましたが、ハンバーグと言う名前は、第一次世界大戦で敵国ドイツの都市の名のため使うのを辞め、「ソールズベリーステーキ」との言い方が広がりました。

1876年、フィラデルフィア万博「アメリカン・チョッパー」という手回し式の挽肉製造機が紹介されると、安くて硬い肉でも簡単においしいハンバーグを作れるチョッパーは家庭の必需品となり、ハンバーグはさらに普及していきます。

ハンバーガーとは?マクドナルドの成功は?

その後、アメリカでは皿に載せて出され、ナイフとフォークで食べるハンバーグよりも、パンに挟さんで食べるハンバーグが流行します。

これを「ハンバンガー」と呼びました。

ちなみにハンバーグを挟む丸いパンをバンズと言い、上部がクラウン、下部がヒールと言いい、ビックマックのように中に入れるパンはクラブといいます。また、ハンバーグ部分はパテと呼びます。

アメリカでハンバーガーを最初に発明し、販売した人、場所については諸説がありますが、確定的ではなく、1900年代初頭には全米で食べられるようになったようです。

当初は、カフェテリア、コーヒーショップ、ドライブインなどで売られ、パンにはさんだハンバーグ(パテ)も安っぽくて、粗末な物もあり、チープなファーストフードとしてのイメージでした。

しかし、やがて清潔・安心・品質の良さをセールスポイントとして、販売店のチェーン化が始まります。

 

 

 

 

 

その最初と言われるのが1916年、カンザス州で創業した「ホワイト・キャッスル」です。

創業者のアンダーソンは、ハンバーガーのイメージを上げるために、店内をガラス張りにし、挽肉や焼くところを客に見えるようにして「見える化」を行いました。

さらに、店員の教育、制服の採用、食器の統一、明るい、清潔な、統一感のある店舗設計などにより、ハンバーガーを安全・安心・洗練された食べ物へとイメージ転換することに成功し1931年には全米で直営店を131店舗まで拡大させます。

1940年、マクドナルド兄弟は、ロサンゼルス郊外のサンバーナディーノに、バーベキューグリルをオープンします。

店の形は8角形で、その周りに車を止めると若い可愛い女の子が注文を聞きにやって来てくるスタンド方式の店でしたが、売上げの80%がハンバーガーだったので、すぐにハンバーガーのみに特化することにしました。

1945年ごろから、家族連れをターゲットとする事業戦略をすすめ、若者がたむろする原因となるジュークボックス、自販機などを撤廃、食器も紙製品の使い捨てとします。

ハンバーガーを焼く人、包装する人、飲み物を入れる人、料金を受け取る人の分業を行い、「ヘンリー・フォード方式」の流れ作業を導入し、注文から20秒で提供できるようにしました。

マクドナルド兄弟は店舗を拡大しようという野心はなく、あくまで個人商店で品質の良さを維持していこうと考えていたのですが、その「マクドナルド」を世界的事業に拡大させたのは、ミルクシェイクを作るミキサーのセールスマンだったレイ・クロックでした。

クロックはマクドナルド兄弟からフランチャイズ販売権を獲得すると全米にマクドナルドの店舗を広げ、やがて1961年にはマクドナルドの全商権を買い取り、オーナーとなるのです。

このあたりの経緯は2017年に公開された映画「ファンダー ハンバーガー帝国の秘密」に描かれています。

クロスは自らが定めたマクドナルドの企業理念 QSCV(Quality・Service・Clean・Value)を徹底し、すべての加盟店や従業員に守らせました。

マーケティングでは子供をターゲットにした戦略をとり、ピエロの「ロナルド・マクドナルド」や「ハッピーセット」は子供の心をつかみ、現在も継続しています。

1984年、クロックは81歳でなくなりますが、その時点では店舗は世界で7500店となっており、クロックの経営手法は外食産業やフランチャイズビジネスのモデルとなりました。

日本でのハンバーグとハンバーガーの始まりは?

ハンバーグが日本にいつ伝わったのか、記録もなく、定かではないようですが、明治時代の洋食レストランに、「ジャーマンステーキ」や「ミンチボール」などのメニューがあったことから、明治時代に入ってきた他の洋食とともに日本に伝わったと想像されます。

日本の家庭でハンバーグが食べられるようになるのは1955年~1960年ごろ、高度成長期に入り、冷蔵庫も普及しだして、精肉店で挽肉が売り出されてからです。

海外ではハンバーグの肉はビーフが一般的でしたが、日本では牛と豚の合い挽き肉の安価な肉を使ったことも普及を早めたようです。

1962年(昭和37年)、食品会社のマルシンフーズ(現丸大食品子会社)より、手軽に調理できるチルドハンバーグ製品の先駆けとなった「マルシンハンバーグ」を販売開始しました。

1969年(昭和44年)、テレビアニメ「ハクション大魔王」が、マルシンフーズ提供で放送を開始しますが、主人公の好物がハンバーグだったこともありハンバーグ人気が拡大します。

一方、パンにハンバーグを挟んだハンバーガーが伝来したのは佐世保と言われていて、1950年(昭和25年)、駐留するアメリカ海軍から直接レシピを聞いた店が米軍向けに作ったのが最初と言われています。

1959年(昭和34年)、人気テレビ漫画「ポパイ」が始まり、登場するキャラクター「ウィンピー」はいつもハンバーガーを食べており、子供たちにハンバーガーが知られていきました。

日本で初めてハンバーガーチェーンを展開したのは、ダイエーの「ドムドム」です。

ダイエーの創業者、中内功は、当初、マクドナルドを日本国内で展開するためクロックとトップ交渉を行いますが、出資比率で合意に至らず、1970年(昭和45年)、町田市で独自のハンバーガーショップ「ドムドム」を出店、1997年(平成9年)には355店舗となります。

その後、ダイエーは米国ハンバーガーチェーン「ウェンディーズ」と提携し、平行してウェンディーズの店舗も出店することになります。

マクドナルドが日本進出の相手に選んだのは、当時無名の輸入商、藤田商店の藤田田(フジタデン)で、出資比率は50:50でロイヤリティは1%という破格な条件でクロックは藤田と契約します。

1971年7月20日、日本マクドナルドの1号店は銀座三越1階にオープンしました。

以来、紆余曲折はありながら、2018年には店舗数2900店、売上高は2700億円となっています。

マクドナルドに続き、「モスバーガー」、「ロッテリア」、「ファーストキッチン」なども次々に開店し、ハンバーガー産業を拡大していき、ハンバーガーショップは、日本全国の駅前、ショッピングモール、商店街には欠かせない風景となりました。

ハンバーグとハンバーガー、その起源と歴史は?・まとめ

以上、ハンバーグとハンバーガーの起源と普及の経緯を見てきました。

現在、アメリカをはじめ欧米ではハンバーグはほとんど食べられず、ハンバーガーが主流です。

 

 

 

 

 

しかし、日本では、ハンバーガー同様、ハンバーグは相変わらず人気メニューです。

しかも、牛肉と豚肉の合い挽肉、ソースも定番のデミグラスソースだけでなく、おろしポン酢の和風のものや、目玉焼きをのせたりという日本独特のハンバーグに進化中ですから、すでに日本食と言えます。

一方、アメリカからやって来たマクドなどのハンバーガーは、あたかも、かつてザビエルがキリスト教を布教したように、70年代のアメリカを象徴していた、豊かさ、明るさ、効率化、即時性、平等、マニュアル化、均一化、大衆化という日本人にとっては新しいトレンドを伝える、いわば第2のザビエルとしての役割を果たしたとも言えます。

ハンバーガーが日本やって来て50年になりますが、これまで幾多の海外文化を受け入れ、融合させて、自分の文化に仕上げていった日本人ですが、これからハンバーガーはどのような日本食に変化していくのでしょうか。

<カレーとはどんな食べ物?歴史と効能は?>


参考:ハンバーガーの歴史と日米の企業家/天野了一

 

 

 

 

 

 

 

 

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