近年は日本史全般で見直しが進んでおり、かつて私たちが教室で学んだこととは一八十度違った学説が定説もしくは有力説となってきています。
古代史については長く日本国の正史である日本書紀に従って説明されてきました。書紀は編纂した為政者側が自己を正当化する目的で捏造や潤色が多いとされ、一部の歴史的記述に疑義が唱えられていました。しかし戦前は言論統制の影響で斬新な考え方はあまり広まりませんでした。
ところが戦後、新憲法によって思想・信条の自由、学問の自由が保障されると、新説が自由に論議されるようになり歴史の見直しが活発となったのです。
代表例が「聖徳太子」です。聖徳太子は推古天皇時の皇太子と摂政を務め、憲法十七条や冠位十二階などを定めた古代国家の偉人として教えられました。しかし現在、太子の確実な存在は揺らいでおり山川出版などの教科書では厩戸王(聖徳太子)と表記していて、実在がはっきりしている厩戸王(うまやどのみこ)が後に聖徳太子と呼ばれた人物のモデルではないかという現在の有力説に従ってカッコ付で表記しています。
大化の改新で滅ぼされた蘇我氏についても本当に皇位簒奪の意図があったのか異論が多く出されており、天皇の座を狙ったと伝わる道鏡、ひ弱な将軍といわれた源実朝、暗愚の将軍として不人気の徳川綱吉、悪徳政治家と批判された田沼意次などについても従来の常識とは異なる新たな人物像が提示されています。
本書ではこのような日本史上の事件と人物の新しい見方を収集して紹介しました。
また筑紫の君磐井、倭寇、法道仙人、猿丸、蝦夷(エミシ)など歴史に登場する謎の人々の正体を解明しました。さらには天海・明智光秀同一人物説、松尾芭蕉忍者説、源実朝暗殺黒幕説の真偽を究明、日本は唐に占領されていた、秀吉に切腹を命じられた千利休は切腹せず生き延びたなど新説を検証します。
日本史に興味のある方には垂涎のテーマを揃えました。コーヒータイムに「シン・日本史」はいかがですか。
コーヒータイムによむ シン・日本史 [内容]
1 箸墓古墳は卑弥呼の墓か その根拠と反論
2 謎の大王・継体 武力で王権を奪った天皇
3 古代最大の内乱 筑紫国磐井の乱
4 謎の豪族蘇我氏 王権簒奪を狙った逆賊だったのか
5 白村江の敗戦 日本は唐に占領されたのか
6 謎の僧侶・法道仙人 なぜ多くの寺院の開祖となったのか
7 日本という国名 その名の始まりと由来
8 聖徳太子はいなかった 太子虚構説の根拠とは
9 道鏡は本当に皇位を狙ったのか 宇佐八幡神託事件の真実とは
10 陰陽師・安倍晴明 人々の安寧を祈る宗教者
11 小倉百人一首の謎の歌人たち 猿丸太夫・蝉丸・喜撰法師
12 最古の昔話 浦島伝説 その起源と変遷
13 倭寇は日本人海賊だったのか 倭寇王・王直と鉄砲伝来
14 蝦夷(エミシ)とは どこから来てどこに消えたのか
15 将軍・源実朝の実像 暗殺事件に黒幕はいたのか
16 香り文化と蘭奢待 信長による截香の目的とは
17 天海大僧正は明智光秀だったのか 同一人物説の真偽は
18 千利休は切腹せず生きていた 新説の根拠とは
19 松尾芭蕉は幕府の隠密だったのか 芭蕉忍者伝説の真偽は
20 徳川綱吉は名君だった 生類憐れみの令の真実とは
21 補陀洛渡海とは 観音浄土をめざして船出した僧侶たち
22 老中・田沼意次 本当に金権政治家だったのか
23 明治維新の暗部 廃仏毀釈 謎の仏教弾圧はなぜ起こったのか
発行/ブイツーソリューションズ)コーヒータイムによむシン・日本史
著者/光石正幸 神戸市在住。重工メーカーを経て特殊車両メーカーNICHIJO社長。 退職後、日本史・世界史・中小企業経営などについて執筆活動中。 趣味は音楽・映画・美術鑑賞など
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