月はどんな星?月の起源は?

地球と宇宙

西洋では、は不吉なものとしていて、狼男も満月を見て変身し、満月の夜は凶悪事件も多いと言います。

しかし、日本人は古来より、月を身近に感じ、特別な思いを持ってきました。

秋の十五夜「中秋の名月」と言って、すすきの穂と月見団子を供えて、月を眺め楽しみます。

 

 

 

 

 

日本人は、幼いときに、月にはウサギがいて餅をついていると必ず教えられましたし、かぐや姫が月に帰る物語を聞かされます。

このように、私たち日本人にとって親しみのある月はいつ、どのように誕生したのでしょうか?

また月に関する、知っているようで知らない事をまとめてみました。

月はいつ、どのように誕生した?4つの説とは?

月は、月の石の放射性炭素分析により、約46億年前に誕生したことがわかっています。

また地球も隕石の分析などにより約46億年前に形成されたということですから、ほぼ同時にできたと言っていいのでしょう。

月の起源についてですが、昔よりいろいろな説が唱えられてきましたが、代表的な4つの説は次の通りです。

分裂説

この説は、月の起源についての最初の科学的論文とされており、「進化論」で有名なチャールズ・ダーウィンの息子のジョージ・ダーウィンが1879年に提唱した説です。

地球の誕生初期に、高速で回転する地球の外部が、分裂し、飛び出してできたという説です。

この説によると、月と地球の酸素同位体(中性子数が同じ)組成はほとんど同じで、親鉄元素(鉄、ニッケルなど)の存在も地球に似ていることが説明できます。

しかし、地球から月が分裂するためには、地球が超高速で回転する必要がありますので可能性は低いとされます。

捕獲説

月は地球とは別な場所で誕生し、その後、月が地球のそばを通過した際に、地球の引力に捉えられたという説です。

理論的には、地球の1/80という大きさの月を地球が捉えるということは、きわめて難しいとされます。

また月と地球の酸素同位体(中性子数が同じ)組成はほとんど同じで、親鉄元素(鉄、ニッケルなど)の存在も地球に似ていることから、月と地球が別のところで形成されたとされることはつじつまが合わないと言うことになります。

双子説

月は地球と同じ場所で、同時に作られたという説です。

この説では、月と地球の酸素同位体(中性子数が同じ)組成はほとんど同じで、親鉄元素(鉄、ニッケルなど)の存在も地球に似ていることは説明できます。

しかし、月には、地球に比べ、揮発性元素(カリウム、ナトリウム、亜鉛のように低温で蒸発する元素)が極端に少なく、このことは地球と違って、月が非常に高温だった事を意味し、地球と同じ場所、同じ時期に誕生したことを説明しにくいのです。

また地球と月の集積中に、衝突の可能性もあり、この説も可能性が低いとされます。

巨大衝突説

地球が誕生した直後、地球に火星級の大きさの巨大な天体が衝突し、その両方の天体から物質が飛び散り、破片による円盤が形成され、この円盤から月が集積して作られたという説です。

ジャイアントインパクト説とも呼ばれます。

前3説のつじつまに合わない部分をほぼ説明できる説で、月と地球の酸素同位体組成はほとんど同じであること、月の親鉄元素の存在度は地球のマントルとよく似ていることなどから現在の有力説となっています。

ただコンピュータで衝突の様子をシミュレートしてみると、実際に飛び散って月を作るのは地球からの物質ではなく、衝突してきた方の天体の物質の方が多いという結果が出てしまいました。

そのため、月が第三の天体が衝突して形成されたとすると、月の成分があまりに地球に似た物質構成であることが説明しにくいということになります。

ところが、これを解決するような、原始地球に、小さな天体が何回も衝突して形成されたという新説が最近発表されました。

複数回の衝突の方が1回の衝突より多くの物質を地球から取り出し、地球により似た衛星が形成されるという事をシミュレーションで証明し、ジャイアントインパクト説を否定したのです。

この説は初期の太陽系には多くの小さな星が存在し、何度となく地球に衝突、小さい月が複数作られ、その月どうしが衝突し成長して現在に月となったとしています。

今後、ジャイアントインパクト説は新説に交替するのでしょうか。

月とはどんな星?月に関する謎とは?

月とはどんな星か、そして月にまつわる謎について上げてみました。

月は巨大な衛星

月の直径は約3476kmで、地球の直径の約1/4になります。ちなみに東京-ハノイ間が3674 kmです。

月の質量で比較すると、地球の約1/80です。

土星の最大の衛星、タイタンについて見てみると、タイタンの直径が土星の約1/20、質量は約1/4700に過ぎず、地球に対して、月は相当に大きい衛星だとわかります。

このことは「月の起源」と密接に関連している月の謎であり、月が地球にいろいろな影響を及ぼす原因でもあります。

地球から月の裏側は見れない

月は公転周期と自転周期が、同じ約27.32日なので、常に地球に同じ側を向けており、この面を月の表側(Near side)と言います。

 

 

 

 

 

 

このために、私たちは地球上から月の裏側を見ることができないのです。

この理屈は、なかなかわかりにくいのですが、ボールを使って実験してみるとわかります。

月の公転周期と朔望月のずれはなぜ?

月の満ち欠けは月が地球を公転する際、太陽光が月の表に当たる部分の変化です。

その周期、すなわち月が新月から満月になり新月に戻る周期を、朔望月(さくぼうげつ)といい、平均29.53日です。

1朔望月を1ヶ月にしたのがかつての和暦です。

月の公転周期27.32日と朔望月の29.53日が2日ほど差があるのは、地球の公転のためで、地球から月を見る角度にずれを生じているからです。

潮の満ち引きへの影響は?

海水の満ち引きは月の引力により起こります。

月の引力によって、地球の月に一番近い側の海は引き寄せられ満潮になります。

また、月と反対側の海も同時に満潮になり、その中間の海は干潮となるのです。

月と反対側が満潮になる理屈が難しいのですが、地球の中心と月と反対側の海に対する月の引力の強弱の差で説明されます。

月と反対側の海は、地球の中心より、月に引っ張られる力が弱いため、逆方向に引っ張られる力が働き、海水が引き寄せられ満潮になるというわけです。

そして地球の一回の自転により、潮の満ち引きは一日2回起こるのです。

月は地球から離れていっている

月は現在、年に約3cm程度、地球から離れつつあります。

いつか月は地球から去っていくのでしょうか。

月が地球を離れていくのは、地球の自転速度が少しずつ遅れてきているからです。

これは地球・月が持つ「角運動量」という回転する天体のエネルギーが関係しています。

地球の自転は海水の満ち引きの際の陸との摩擦などで徐々に遅くなっており、今後、さらに自転速度が落ち、月の公転速度と同じになると、月が離れていくことが止まると言われていて、地球から離れることはありません。

その時の1ヵ月は50日程度ですが、それは少なくとも、数十億年先のことで、太陽と地球の寿命があと50億年と言われていますので、その日は来ないのかも知れませんね。

月はどんな星?月の起源は?まとめ

1969年7月24日にアポロ11号が人類初の月面着陸をして以来、アポロ17号まで、合計400kgの月の物質がもたらされ、月の起源と宇宙の研究が進みました。

 

 

 

 

 

近年、米国は月探査を再開し、NASAは2024年までに、月面に有人ロケットを着陸させる「アルテミス計画」を予定しています。

宇宙ステーション・Gatewayや月面基地を建設して、将来、火星への物資輸送計画の拠点とするという壮大な計画です。

また日本も、この計画に参画を決定するとともに、宇宙航空研究開発機構(JAXA)では、超小型衛星を使い、月探査を始める予定です。

今後、世界各国の月探査が進み、月と宇宙の謎がもっと解明されれば面白いですね。



 

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