地球の水の起源は?月に水はある?

地球と宇宙

人類で初めて宇宙から地球を見たロシアの宇宙飛行士、ガガーリン「地球は青かった」と述べたように、地球は、太陽系では唯一の青く、生命にあふれた星です。

それは地球が、表面積の10分の7が海である「水の惑星」だからです。

 

 

 

 

 

 

 

海水の質量は地球全体の0.023%に過ぎませんし、地球の半径が6,378kmに対し、海の深さは平均5km弱です。

しかし、この海のおかげで、地球では多くの生命が生まれ、進化してきました。

私たちは、水があることを当たり前のように思っていますが、水は地球が誕生したときから、存在したのでしょうか?

あるいは、水はどこからか来たのでしょうか?

また地球の衛星である月には水はあるのでしょうか?

など、地球や月の水の起源について調べて見ました。

地球の水はどこから来たの?

 

水の起源については、多くの研究がなされていますが、その水がどこから来たのか、現在でも議論が続き、決着はついていません。

ただ、大多数の研究者は、地球が生まれたとき、地球はマグマの塊でありで、水が存在したとは考えられず、地球創生後に、地球の外から水はもたらされたと考えています。

地球の水がどこから来たのか調べるために、水に含まれる「重水素/水素」比(D/H)が測定され、その比率が地球の水と同じであれば同じ起源であると見なすという方法がとられています。

現在、考えられる水の起源は、次の通りです。

① 隕石によりやって来た

地球の創生初期、41億年前から38億年前の期間、地球や月に多くの隕石など天体衝突を受けた、いわゆる「後期重爆撃期」に大量の隕石が降り注ぎました。

その中には豊富な水分を含む隕石があります。

地球に飛来する隕石の80%がケイ酸塩鉱物を主成分とするコンドライト隕石と言われます。

その中でも、炭素コンドライトという隕石に含まれる水の量をシミュレーションすると、地球全体の数%が炭素コンドライトからできていれば、現在の地球の海水量を満たすことができるようです。

しかも、海水に含まれる水素と重水素の割合(D/H)が炭素コンドライドと一致していているので、隕石が地球の水の起源の一つと考える研究者は多いようです。

② 彗星によりもたらされた

彗星は氷とちりの塊ですが、主要成分は水(H2O)で、「後期重爆撃期」に彗星が何千万個も降り注ぎ、地球の海水をつくったという説です。

この説の評価は二転三転しています。

 

 

 

 

有名なハレー彗星、ヘールポップ彗星、百武彗星のD/Hを分析すると、海水の2倍あり、一致しないのです。

ところが近年、カイパーベルト彗星の分析結果は、地球の水に非常に近い事がわかり、これが地球の起源と説明できる可能性が出てきました。

しかし最近、チュリモフ・ゲラシメンコ彗星D/Hが一致せず、彗星が一様に地球の水の起源とは言いにくくなりました。

③ 原始太陽系円盤ガスから取り入れた

太陽系初期の頃、宇宙に充満していた、水素とヘリウムを主体とする円盤ガスを、できたばかりの地球が重力によって捕獲し、水素と地表に含まれる酸化物の酸素と化学反応により、水が生成されたという説です。

ただし、シミュレーションによると円盤中のみの水だけでは、水素に対する重水素の比率D/Hが一致しないという結果がでており、さらなる理論が必要です。

④ 微惑星

原始地球に、水を持った微惑星が次々に衝突し、生じた高熱で閉じ込められた水は水蒸気となり、大気が形成され、雨となって地球に降り注いだという説です。

この説は微惑星のD/Hが一致しており、根強く支持がある説です。

ただ、海水と地球の中心の水素を分析すると、後者の重水素比率が低く、一致しないことから、地球内部の水素も微惑星から飛来したとすると矛盾します。

以上、4つの説を紹介しました。

必ずしも単一のプロセスが水の起源とは言えないと思われます。

またD/H指標についても疑問視する意見が出ており、地球の水の起源については、不確定なところが多く、混沌としています。

月には水は存在するの?

 

地球の衛星である月には、水はあるのでしょうか。

月は、地球に火星サイズの天体が衝突して、双方から分離した残骸が合体してできたと言われます。

これを「ジャイアント・インパクト」説といいます。

その際の超高熱により水分などは蒸発して、乾燥してしまい、月には水は存在しないと長年信じられてきました。

写真で見る月の風景は死の世界で、水の存在を想像できません。

しかし、近年、月の探査が進むにつれて、月の極地に水の存在を肯定する研究者が増加しました。

2008年にはアポロ15号、17号によって持ち帰られた、火山性堆積物のガラス粒子内に、水の存在を想定できる痕跡が発見されています。

2018年、米国の大学の研究において、月面の極地に水を氷の状態で発見したと発表されました。

 

 

 

 

 

 

 

氷が観測されたのは、月の極地のクレーター内の「永久影(えいきゅうかげ)」と呼ばれる、日陰となった部分で、地表から数ミリのところに氷が認められたと発表しました。

10年前のインドの探査衛星「チャンドラヤーン1号」に搭載されたNASAの観測レーダーが取得したデータを分析した結果、氷の存在が断定されたのです。

さらに2019年、NASAの探査機「ラディー」は月に隕石が衝突する際に、月面より大量の水が放出されるのを検出したと発表しました。

このように、現在では、月には水が存在することが決定的となっています。

しかし、月の水がどこから来たのか、その量についても、解明できていません。

月の水の起源として、水分を含む隕石が衝突したという説、あるいは月の形成期の水分が保存されていたという説があります。

また、最近の研究では、太陽から吹き出される「太陽風」によりもたらされた水素が、隕石の落下の熱との化学反応で水が形成された可能性などが上げられますが、定説に至っていません。

将来、火星や、その他の惑星への有人探査の際、月の中継基地は重要な役割を果たします。

そのために月の水の活用は重要なことで、生活用水のほかに、月の水により酸素の生成と燃料としての水素の生成が可能となります。

地球と月の水の起源について、今後の研究の進展が期待されます。



 

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